1. アリフ・ラーム・ミーム・サード。
2. (これは)あなたに下した啓典である。あなたはそれで,もう意気そそうしてはならない。あなたが信者たちに訓戒し,警告するため(に下されたもの)である。
3. (人びとよ)主からあなたがたに下されたものに従い,かれ以外の保護者に従ってはならない。だがあなたがたの(中),教訓に留意する者は少ない。
4. われは如何に多くの町を滅したことであろうか,わが力は夜の間に,またかれらの昼の休みに(突然)襲いかかる。
5. わが懲罰がかれらに下った時,かれらは只「わたしたちは,本当に不義を行っていた。」と言うだけであった。
6. それからわれは,使徒が遣された者たちを尋問し,また使徒たちをも尋問する。
7. それからわれは,(確かな)知識に基づいてかれらに告げるであろう。「われは決して不在(の時および所)はないのである。」
8. 量はその日,真正である。(善行の)目方の重い者は,成功する者である。
9. また目方の軽い者は,わが印を軽んじたため自分を損う者である。
10. われは地上において,あなたがた(人間)に力をもたせ,またあなたがたのため,そこに生計の道を授けた。だがあなたがたの(中),感謝する者は僅かである。
11. われはあなたがたを創り,形を授け,それからわれは,天使たちに向かって,「アーダムにサジダしなさい。」と告げた。それで外のものは皆サジダしたが,悪魔〔イブリース〕はサジダした者の中に加わらなかった。
12. かれは仰せられた。「われがあなたに命じた時,どうしてサジダしなかったのか。」悪魔は答えた。「わたしはかれよりも優れております。あなたはわたしを火から御創りになりましたが,かれを泥で創られました。」
13. かれは仰せられた。「ここから落ちてしまえ。あなたはここで高慢であるべきではない。立ち去れ。あなたは本当に卑しむべき者である。」
14. 悪魔は答えた。「かれらが甦らされる日まで,わたしを猶予して下さい。」
15. かれは,「あなたは猶予されよう。」と仰せられた。
16. 悪魔は答えた。「あなたがわたしを惑わされたので,わたしはあなたの正しい道の上で,人々を待ち伏せるであろう。
17. そしてわたしは,かれらを前から,後ろから,右てからも左てからも襲いましょう。あなたはかれらの多くの者が,(御慈悲に対し)感謝しないことが御分かりになるでしょう。」
18. かれは仰せられた。「恥辱を受けて追われて,ここから出て行け。凡そかれらの中あなたに従う者があれば,われはあなたがたの人々で地獄を満たすであろう。」
19. (それからアーダムに仰せられた。) 「アーダムよ,あなたとあなたの妻は楽園に住み,随所であなたがた(の好むものを)食べなさい。只この樹に近付いて不義を犯してはならない。」
20. その後悪魔〔シャイターン〕はかれらに(嘱?)き,今まで見えなかった恥かしいところを,あらわに示そうとして言った。「あなたがたの主が,この樹に近付くことを禁じられたのは,あなたがたが天使になり,または永遠に生きる(のを恐れられた)からである。」
21. そしてかれは,かれら両人に誓っ(て言っ)た。「わたしはあなたがたの心からの忠告者である。」
22. こうしてかれは両人を欺いて堕落させた。かれらがこの木を味わうと,その恥ずかしい処があらわになり,2人は園の木の葉でその身を覆い始めた。その時主は,かれらに呼びかけて仰せられた。「われはこの木をあなたがたに禁じたではないか。また悪魔〔シャイターン〕は,あなたがたの公然の敵であると告げたではないか。」
23. かれら両人は言った。「主よ,わたしたちは誤ちを犯しました。もしあなたの御赦しと慈悲を御受け出来ないならば,わたしたちは必ず失敗者の仲間になってしまいます。」
24. かれは仰せられた。「あなたがたは落ちて行け,あなたがたは互いに敵となるであろう。あなたがたには地上に住まいと,一定の期間の恵みがあろう。」
25. かれは仰せられた。「そこであなたがたは生活し,死に,またそこから(復活の時に)引き出されるであろう。」
26. アーダムの子孫よ,われは,恥ずかしいところを覆い,また飾るために衣装をあなたがたに授けた。だが篤信という衣装こそ最も優れたものである。これはアッラーの印である。恐らくかれらは諭されるであろう。
27. アーダムの子孫よ,あなたがたは悪魔に惑わされてはならない。かれが昔,あなたがたの祖先に,その恥ずかしいところを見せるため,かれら2人の衣を奪い,楽園から追われたように。かれ(悪魔)とかれの一味は,あなたがたの見えない所からあなたがたを見ている。本当にわれは悪魔を不信心な者たちの友とした。
28. かれらは淫らなことをする時,「わたしたちは祖先が行うのを見た。またアッラーがこれをわたしたちに命じられた。」と言う。言ってやるがいい。「アッラーは決して淫らなことを命じられない。あなたがたはアッラーに就いて,知りもしないことをロにするのか。」
29. 言ってやるがいい。「わたしの主は,正義を命じられる。それであなたがたは全霊をうち込み,何処のマスジドでも,かれに信心の誠を尽くして祈りなさい。最初あなたがたを創られたように,あなたがたは(かれに)帰るのである。
30. かれはある一団の者を導かれ,またある一団の者には迷いを正当となされる。かれらはアッラーを差し置いて悪魔を保護者となし,正しい導きにあずかれると考えている。」
31. アーダムの子孫よ,何処のマスジドでも清潔な衣服を体につけなさい。そして食べたり飲んだりしなさい。だが度を越してはならない。本当にかれは浪費する者を御好みにならない。
32. 言ってやるがいい。「アッラーがしもぺたちに与えられた,かれからの(賜物)や,食料として(与えられた)清浄なものを,誰が禁じたのか。」言ってやるがいい。「これらのものは,現世の信仰する者たちのためのものであり,特に審判の日には完全に信者の専有するものとなる。」われはこのように印を,理解ある人々に解明する。
33. 言ってやるがいい。「本当にわたしの主が禁じられたことは,あからさまな,また隠れた淫らな行いや罪,真理や道義に外れた迫害,またアッラーが何の権威をも授けられないものを崇拝すること。またアッラーに就いて,あなたがたが知らないことを語ることである。」
34. それぞれの民には,一定の期限がある。だからその期限がやって来れば,一刻も遅らすことも出来ず,早めることも出来ない。
35. アーダムの子孫よ,あなたがたの間から使徒がやって来て,わが印をあなたがたに語る時,主を畏れて身を修める者には,恐れもなく憂いもないであろう。
36. しかしわが印を偽りであるとする高慢な者は,業火の住人として,その中に永遠に住むであろう。
37. 凡そアッラーに就いて偽りを捏造し,またその印を拒否することより甚しい不義があろうか。それらの者には(主の)啓典に,(定められている)かれらの分け前が,到来するであろう。わが使徒(天使)がかれらを訪れて魂をとり上げる時,かれら(天使)は言う。「アッラーを差し置いて,あなたがたが祈っていたものは何処にいるのか。」かれらは言うであろう。「かれらは,わたしたちから逸れました。」かれらは自分で,本当に不信心であったことを立証する。
38. かれは仰せられた。「あなたがたは以前に行った,ジンと人間の一団と共に火獄に入れ。」そして一団が火獄に入る度に,必ず(先に行った)仲間の一団を呪う。全部の者が,次々にその中に入ると,後の一団は最初の一団をさして言う。「主よ,わたしたちを迷わせたのは,これらの者です。だから2倍の火獄の刑罰を与えて下さい。」かれは仰せられよう。「誰もみな2倍(の刑罰が)与えられよう。だがあなたがたはそれを知らない。」
39. また前の一団は,後の一団に向かって言うであろう。「あなたがたは,何もわたしたちに優るところはないのです。それであなたがたが行ったことに対し,懲罰を味わいなさい。」
40. わが印を偽りであるとし,それに対し高慢であった者たちには,天の間は決して開かれないであろう。またラクダが針の穴を通るまで,かれらは楽園に入れないであろう。このようにわれは罪ある者に報いる。
41. かれらには,臥床として地獄があり,その上は(層また層で)覆われよう。われはこのように不義なる者に報いる。
42. だが信仰して善い行いに励む者は,われは誰にも,能力以上のものを負わせない。かれらは楽園の住人である。その中に永遠に住むのである。
43. われはかれらの心の中の怨恨を除き,かれらの足元に川を流す。かれらは言うであろう。「わたしたちをこの(幸福)に御導き下された,アッラーを讃える。もしアッラーの御導きがなかったならば,わたしたちは決して(正しく)導かれなかったでありましょう。主の使徒たちは,確かに真理を伝えました。」(声があり)かれらは呼びかけられる。「これが楽園である。あなたがたは(正しい)行いのために,ここの居住者となれたのである。」
44. 楽園の仲間は火獄の仲間に向かって叫ぶであろう。「わたしたちは主の約束が真実であることが分った。あなたがたも主の約束が真実であることが分ったか。」かれらは「はい」と答えるであろう。その時1人の告知人が,両者の間で叫ぶであろう。「アッラーの御怒りは,不義の徒の上に下るのだ。
45. これらの者はアッラーの道から(人びとを)背かせ,また歪めようとした者であり来世を信じない者たちであった。」
46. 両者の間には仕切りの壁があり,高い壁の上には印によって,凡ての者を見分ける人びとがいて,かれらは楽園に行く人を呼んで(言う)。「あなたがたに平安あれ。」かれらは望んでいるのだが,そこに入ることは出来ない。
47. 次に目を火獄の住人の方に向けるとかれらは,「主よ,わたしたちを不義の人びとと一緒にしないで下さい。」と言うであろう。
48. 高い壁の上にいる人びとは,その印によって見分けた人びとに向かって呼びかけて,言う。「あなたがたは(財を)積み,大いに自慢していたが何の役にも立たなかった。
49. これらの人々は,アッラーがかれらには慈悲を施さないであろうと,あなたがたが断言した人びとではないか。(これらの人々に就いては)さあ楽園に入りなさい。あなたがたには,恐れもなく憂いもないであろう。」(と言われるであろう)。
50. 火獄の仲間は楽園の仲間を呼んで(言う)。「わたしたちに水を注いでくれ。またはアッラーが,あなたがたに与えられたものを恵んでくれ。」かれらは(答えて)言う。「アッラーは,そのどちらをも,不信者には禁じられる。」
51. かれらは自分の宗教を遊びや戯れと心得,またこの世の生活に欺かれた者たちである。それでかれらがこの日の会見を忘れ,またわが印を拒否していたように,今日われはかれらを忘れるであろう。
52. われはまさに啓典をかれらに下し,知識によって詳しく述べた。これは信じる人びとへの導きであり,慈悲である。
53. かれら(マッカの人びと)は,その解明を待つ以外にはない。その解明が行われる日になって,先にこれを軽視していた者は言うであろう。「主の使徒たちは,確かに真理を伝えたのだ。昔かれらがわたしたちのために執り成したように,執り成す者はないのか。それともわたしたちは(地上の生活に)返されて,わたしたちがしなかった行いをすることが出来ないのか。」実際に,かれらは自分の魂を滅ぼし,勝手に造りあげていたものたちはかれらから姿を消してしまった。
54. 本当にあなたがたの主はアッラーであられる。かれは6日で天と地を創り,それから玉座に座しておられる。かれは昼の上に夜を覆わせ,夜に昼を慌ただしく相継がしめなされ,また太陽,月,群星を,命に服させられる。ああ,かれこそは創造し統御される御方ではないか。万有の主アッラーに祝福あれ。
55. 謙虚にまた目立たない隠れたところで,あなたがたの主に祈れ。かれは教えに背く者を御好みになられない。
56. 秩序が定められた後,地上で悪を行ってはならない。恐れと熱情をもってかれに祈れ。本当にアッラーの慈悲は,(常に)善行をなす者の近くにある。
57. かれこそは,慈悲に先んじて吉報を(打?)す風を送られる御方である。それが(雨を)含んだ重い雲を運ベば,われはそれを死んでいる地に送って雨を降らせ,これによって各種の果実を生産させる。われはこのように死者を甦らせる。恐らくあなたがたは悟るであろう。
58. 良い上には,主の御許しによって,草木が茂る。悪い上には,貧弱なものの外生長しない。われはこのように感謝する者のために,繰り返し各種の印を解明している。
59. 先にわれはヌーフをその民に遺わした。かれは言った。「わたしの人びとよ,アッラーに仕えなさい。かれの外に神はないのである。本当にわたしは,偉大な日の懲罰をあなたがたのために恐れる。」
60. かれの民の長老たちは言った。「本当にわたしたちは,あなたが明らかに間違っていると思う。」
61. かれは(答えて)言った。「人びとよ,わたしは間違うことはない。それどころか,わたしは万有の主の使徒である。
62. わたしはあなたがたに,主の神託を宣べ伝え,また助言を呈する。わたしはあなたがたが知らないことを,アッラーから知るものである。
63. あなたがたの中の1人を通じ,主の訓戒があなたがたにやって来たことを驚くのか。そしてあなたがたに警告し,主を畏れるようにし,あなたがたを慈悲に浴させるであろう。」
64. だがかれらはヌーフを拒否した。それでわれは,かれと方舟の中で一緒であったものたちを救い,わが印を偽りであるとした者たちを溺れさせた。本当にかれらは盲目の民であった。
65. (われは)またアードの民に,その同胞のフードを(遣わした)。かれは言った。「わたしの人びとよ,アッラーに仕えなさい。あなたがたには,かれ(アッラー)の外に神はないのである。あなたがたは主を畏れないのか。」
66. かれの民の中不信心な長老たちは言った。「わたしたちは,実際あなたを愚かな者だと思う。またあなたは,本当の嘘つきだと考える。」
67. かれは言った。「人びとよ,わたしは愚か者ではない。それどころか,わたしは万有の主からの使徒である。
68. わたしは,あなたがたに主の神託を宣べ伝え,また誠実な信頼出来るあなたがたへの助言者である。
69. あなたがたの中の1人を通じて警告するために,主の訓戒があなたがたにやって来たことを驚くのか。主はあなたがたにヌーフの民の後継ぎをさせ,またあなたがたの体が強大にされたことを思いなさい。だからアッラーの恩恵を念じなさい。きっとあなたがたは成功するであろう。」
70. かれらは言った。「あなたは,わたしたちがアッラーだけに仕え,わたしたちの祖先が仕えていたものを捨てさせるために来たのか。もしあなたが真実ならば,あなたが脅すものをわたしたちに(育?)せ。」
71. かれは言った。「あなたがたの主の懲罰と御怒りは,既にあなたがたに下っている。あなたがたと,あなたがたの祖先が命名した(偶像の)名に就いて,アッラーが何の権威をも授けられないものに就いて,あなたがたはわたしと論争するのか。それなら待て。本当にわたしも,あなたがたと共に待っている者である。」
72. それだからわれは慈悲をもって,かれと一緒にいる者たちを救い,わが印を拒否した者と信仰しなかった者たちを根絶してしまった。
73. (われは)また,サムードの民にその同胞サーリフを(遣わした)。かれは言った。「わたしの人びとよ,アッラーに仕えなさい。あなたがたには,かれの外に神はないのである。今主から証があなたがたに下った。このアッラーの雌ラクダが,あなたがたへの印である。それでこれをアッラーの大地に放牧して食べさせなさい。そしてあなたがたが痛ましい懲罰に遭わないよう,それに害を加えてはならない。
74. またかれは,アードの民の後をあなたがたに継がせ,その地に安住させられた時のことを思いなさい。あなたがたは平地に官殿を設け,また(岩)山に家を彫りこんだ。だからアッラーの御恵みを心に銘じて,悪を慎み,地上を乱してはならない。」
75. その民の中の高慢な長老たちは,力がないと思われていた信仰する者たちに言った。「あなたがたはサーリフが,主から遺わされたことを知っているのか。」かれらは(答えて)言った。「わたしたちは,かれが遺わされた者であることを本当に信します。」
76. 高慢な者たちは言った。「わたしたちは,あなたがたが信じるものを認めない。」
77. そこでかれらは,かの雌ラクダの膝の健を切って不具にし,(屠殺し)かれらの主の命令を倣慢無礼にも無視して,かれらは言った。「サーリフよ,もしあなたが(本当に)使徒であるならば,ふりかかってくると言っているものを,わたしたちに(宙?)せ。」
78. そこで大地震がかれらを襲い,翌朝かれらはその家の中に平伏していた。
79. それで(サーリフは)かれらから去って言った。「わたしの人びとよ,確かにわたしは主の御告げを宣ぺ伝え,またあなたがたに助言をした。だがあなたがたは誠実な助言者を喜ばない。」
80. また(われは)ルートを(遺わした),かれはその民に言った。「あなたがたは,あなたがた以前のどの世でも,誰も行わなかった淫らなことをするのか。
81. あなたがたは,情欲のため女でなくて男に赴く。いやあなたがたは,途方もない人びとである。」
82. かれの民は,只(互いに)こう言うだけであった。「かれらを,あなたがたの村から追い出せ。かれらは本当に清純ぶった人たちである。」
83. こうしてわれは,かれ(ルート)の妻を除き,かれとその家族を救った。かの女は後の方になった遅れた者の仲間であった。
84. われはかれらの上に,(瓦(際?)の)雨を降らせた。見なさい。罪に耽る者の最後がどんなものであったかを。
85. (われは)また,マドヤンの民に,その同胞のシュアイブを(遺わした)。かれは言った。「わたしの人びとよ,アッラーに仕えなさい。あなたがたにはかれの外に神はないのである。今主からの証が,あなたがたに下ったのだ。だからきちんと寸法をとり,目方を量り,人を誤魔化してはならない。また秩序が定められた後,地上で悪を行ってはならない。もしあなたがたが信者であるならば,これはあなたがたのために最も良いことである。
86. あなたがたは,(旅人を脅かすために)どの路上でも待伏せしてはならない。また信じる者をアッラーの道から妨げたり,曲げ(ようとし)てはならない。またあなたがたは少数であったが,かれが(如何に)数多くなされたかを思いなさい。また悪を行ったものの最後がどうであったかを見なさい。
87. それからもしあなたがたの中に,わたしの遣わされた使命を信じる一団と,それを信じない一団とがある時は,アッラーがわたしたちの間を裁かれるまで待ちなさい。本当にかれは裁決に最も優れた御方であられる。」
88. かれの民の中の高慢な長老たちは言った。「シュアイブよ,わたしたちは,あなたもあなたと一緒に信仰する者たちも,この町から追放するであろう。さもなければ,わたしたちの宗教に返るべきである。」かれは言った。「仮令わたしたちが(それを)忌み嫌っていてもなのですか。
89. アッラーが,わたしたちをあなたがたの宗教から救助された後,もしわたしたちが(それに)戻ったならば,アッラーに対し嘘を捏造したことになってしまいます。またわたしたちの主,アッラーが御好みにならないならば,それに戻ってくることはわたしたちには不可能です。本当に主は,凡ての事物をその御知識に包容なされます。わたしたちはアッラーを信頼申し上げます。主よ,真理によって,わたしたちと人々の間を裁いて下さい。本当にあなたは裁決に最も優れた方であられます。」
90. またその民の中の不信者の長老たちは言った。「あなたがたがもしシュアイブに従うならば,きっと失敗者になるでしょう。」
91. それで大地震がかれらを襲い,かれらはその家の中に平伏していた。
92. シュアイブを嘘つきと呼んだ者は,そこに住んでなかったようであった。誠にシュアイブを拒否した者たち,かれらは失敗者であった。
93. それでかれはその民を去って言った。「人びとよ,本当にわたしは御告げを確実にあなたがたに伝え,また助言をしたのである。信仰しない人びとのために,どうしてわたしの心を痛めようか。」
94. われは一つの町に,預言者を遺わす度に,謙虚になるように,何時も不幸と受難でそこの民を襲った。
95. それからわれが災厄に替えて幸運を授け,裕福になると,かれらは言う。「わたしたちの祖先も,確かに災難と幸福にあったのです。」それでわれはかれらが気付かない時に,突然懲罰を加えた。
96. これらの町や村の人びとが信仰して主を畏れたならば,われは天と地の祝福の扉を,かれらのためにきっと開いたであろう。だがかれらは(真理を)偽りであるとしたので,われはかれらの行ったことに対して懲罰を加えた。
97. 町や村の人びとは,深夜かれらが眠っている間に訪れるわが激怒に対して,安心出来るのであろうか。
98. また町や村の人びとは,昼間かれらが戯れている間に訪れるわが激怒に対して,安心出来るのであろうか。
99. かれらはアッラーの計画に対して安心出来るのであろうか。アッラーの計画に対し安心出来るというのは,失敗する(運命にある)者だけである。
100. そこの(減び去った)住民の後,その地を継いだ者たちにとって,すなわちわれがもし望むならば,自らの罪によって滅ぼすことも出来る。またわれはかれらの心に封印をして,聞く耳を持たなくしてしまうことも出来るということは。
101. これらは,われがある消息に就いて,あなたに述べた町や村である。使徒たちは,証をかれらに(湾?)した。だがかれらは以前に拒否したので,信じようとはしなかったのである。このようにアッラーは,不信者の心を封じられる。
102. われはかれらの大部分の者に,契約を(忠実に)果す者を見いだすことが出来ない。寧ろかれらの大部分が確かに主の掟に背く者であることが分った。
103. それからかれらの後に,われはムーサーを,わが印を携えて,フィルアウンとその長老たちに遣わした,だがかれらはそれを拒否した。それで不義を行う者の最後が,どんなものであるかを見なさい。
104. ムーサーは言った。「フィルアウンよ,わたしは,万有の主から遺わされた使徒である。
105. わたしは当然のことながらアッラーに就いて真理の外何も言わない。わたしはあなたがたに,主からの明証を(有?)したのである。だからイスラエルの子孫を,わたしと一緒に行かせなさい。」
106. (フィルアウンは) 言った。「もしあなたが印を(強?)し,あなたの言葉が真実なら,初めにそれ(証)を現わせ。」
107. そこでかれは自分の杖を投げた。見なさい。それは明らかに蛇であった。
108. またかれはその手を伸ばした。見なさい。それは誰の眼にも白かった。
109. フィルアウンの民の長老たちは言った。「これは老練な魔術師だ。
110. かれは,この国土からあなたがたを追出そうと望んでいる。さてあなたがたの主張はどうか。」
111. かれらは(フィルアウン)に言った。「かれとその兄弟をしばらく退かせ,召集者を諸都市に遺わして,
112. 老練な魔術師をあなたの所に全員呼び出しては。」
113. そこで魔術師たちはフィルアウンの許に来て言った。「わたしたちが勝ったならば,きっとわたしたちに報奨があるでしょう。」
114. かれは言った。「そうだ。(その上)わたしはあなたがたを,必ずわたしの側近にするであろう。」
115. かれらは言った。「ムーサーよ,あなたが投げるのか,それともわたしたちが(先に)投げるのか。」
116. かれ(ムーサー)は言った。「あなたがたが(先に)投げなさい」。そこでかれらは投げて人々の目を惑わし,かれらを恐れさせ,大魔術を演出した。
117. その時われはムーサーに,「あなたの杖を投げなさい。」と啓示した。すると見よ。それはかれらの瞞ものを(皆)呑み込んでしまった。
118. こうして真理が現われ,かれらの行ったことは虚しくなり,
119. かれらは打ち負かされ,縮み上がってしまった。
120. 魔術師たちは身を投げ出してサジダし,
121. 言った。「わたしたちは,万有の主を信仰します,
122. ムーサーとハールーンの主を。」
123. フィルアウンは言った。「あなたがたは,わたしが許さないうちにかれを信仰するのか。確かにこれはあなたがたの町で企んだ陰謀で,ここの民を追出そうとするのだ。だがあなたがたはやがて知るであろう。
124. わたしはあなたがたの手と足を,必ず互違いに切断し,それから皆を十字架にかけるであろう。」
125. かれらは言った。「本当にわたしたちは,主の許に帰されるのです。
126. だがあなたがたは,主の印がわたしたちの許に来て,わたしたちが単にそれを信仰するというだけで,わたしたちに報復されるのですか。主よ,わたしたちに忍耐を与え,ムスリムとして死なせて下さい。」
127. フィルアウンの民の長老たちは言った。「(王様よ)あなたはムーサーとその民が国内を乱し,あなたとあなたの神々を捨てるのを放っておくのですか」かれは言った。「わたしたちはかれらの男児を殺して,女児を生かしておこう。わたしたちは,かれらにたいして権威をもっている。」
128. ムーサーはその民に言った。「アッラーの御助けを祈り,耐え忍べ。本当に大地はアッラーの有である。かれは御好みになるしもべたちに,これを継がせられる。最後は(主に対し)義務を果す者に,帰するのである。」
129. かれは言った。「わたしたちは,あなた(ムーサー)がやって来る以前も,またやって来てから後も迫害を被った。」かれは言った。「これは主が,あなたがたの敵を滅ぼし,あなたがたにこの地を継がせ,どのようにあなたがたが行うかを御覧になるであろう。」
130. われはフィルアウンの一族を,連年飢鐘と,収穫の減少で襲った。恐らくかれらは訓戒を受け入れるであろう。
131. だがかれらは良いことが来れば,「これはわたしたちにとって当然です。」と言い,悪いことが臨めば, ムーサーとかれと共にいる人びとが((西?)す)不幸だとする。聞け。かれらの凶運は,アッラーの定められるもの。だがかれらの多くは理解しない。
132. かれらは言った。「あなたがどんな印を(強?)してわたしたちを魅惑しようとしても,わたしたちは決してあなたを信じません。」
133. そこでわれはかれらに対し,様々な明証として洪水やバッタやシラミ,カエルや血などを送った。だがかれらは高慢な態度を続け,罪深い民であった。
134. 災厄がかれらに下る度に,かれらは言った。「ム−サーよ,わたしたちのためにあなたと約束されたというあなたの主に祈ってくれ。あなたがもしわたしたちからこの災厄を除くならば,わたしたちはきっとあなたを信じ,イスラエルの子孫をあなたと一緒に,きっと帰らせるであろう。」
135. だが,定められた期限になって,われがかれらから災厄を除く度に,見なさい。かれらは(その約束を)破ろ。
136. それでわれはかれらへの報いとして,かれらを海に溺れさせた。これはかれらがわが啓示を拒否し,それを軽視したためである。
137. われは無力と思われていた民に,われが祝福した東と西の各地を継がせた。(よく)耐え忍んだために,イスラエルの子孫の上に,あなたの主の善い言葉が全うされた。そしてわれはフィルアウンとその民がうち建てたもの,また築造していたものを破壊した。
138. われはイスラエルの子孫に海を渡らせたが,かれらはある偶像に仕えているある民族のところに来た。かれらは言った。「ムーサーよ,かれらが持っている神々のような一柱の神を,わたしたちに置いてくれ」。かれは言った。「本当にあなたがたは無知の民である。
139. 本当にこれらのものが奉じているものは滅び,またかれらの行うことも無益である。」
140. かれは言った。「わたしはあなたがたのため,アッラーの外に神を求めようか。かれは諸民族の上に,あなたがたを優遇されているではないか。」
141. われがフィルアウンの一族から,あなたがたを救った時を思いなさい。かれらはあなたがたを悪い刑罰で悩ましていた。かれらはあなたがたの男児を殺し,女児を生かして置いた。本当にその中には,あなたの主からの,重大な試練があったのである。
142. またわれはムーサーに(律法を授ける期間として)30夜を約束したが,更に10(夜)を加えた。それで主が定められた期限は40夜となった。ムーサーは,兄弟のハールーンに言った。「あなたはわたしに代って人々を統治しなさい。正しく行動し,悪を行う者の道に従ってはならない。」
143. ムーサーがわれの約束した時に来て,主がかれに語りかけられた時,かれは申し上げた。「主よ,あなたに拝謁が出来るように,(親しく)わたしに姿を御現わし下さい。」かれは仰せられた。「あなたは決してわれを見ることは出来ない。だがあの山を見よ。もしそれが,相変わらずその所に安定しておれば,そこにあなたはわれを見るであろう。」主がその山に(神の御光を)現わして山を粉みじんにすると,ムーサーは(余りにも恐ろしいので)気絶して倒れた。意識が回復した時かれは言った。「あなたの栄光を讃えます。わたしは悔悟してあなたに帰依し,わたしは信仰する者の先き駆けとなります。」
144. かれは仰せられた。「ムーサーよ,本当にわれは,わが啓示と御言葉によってあなたを万人の上に選んだ。だからわれの授けたものをしっかりと身に付け,感謝する者の一人となりなさい。」
145. そしてわれは,かれのために一切の事物に関する訓戒と,凡のことの解釈とを,碑の上に記して(言った)。「これをしっかり守れ。またあなたの人びとに,その中の最も優れた(道)を守るよう命じなさい。われは主の掟に背く者の住まいを,やがてあなたがたに示すであろう。
146. また地上で正義を無視し,高慢である者に就いては,われが啓示から背き去らせるであろう。それでもかれらは,凡の印を見てもこれを信じない。また公正な道を見ても,それを(自分の)道としない。そして邪悪な道を見れば,それこそ(真の)道であるとしている。これはかれらがわが印を拒否して,それを軽視しているためである。」
147. わが印と,来世における会見を偽りであるとする者の行いは無効である。かれらの行ったこと以外に,何が報いられようか。
148. ムーサーの民は,かれの(去った)後,自分の装飾品で鳴き声の出る形だけの仔牛を造った。かれらはそれがものも言わず,また道案内も出来ないことが分らないのか。かれらはそれを(神として)とり,不義を行った。
149. かれらは自分たちの過ちが分り,酷く悔やんだ時に言った。「本当に主が慈悲を施こされず,またその御赦しがなかったならば,わたしたちはきっと失敗者の仲間であった。」
150. ムーサーはその民の許に帰った時,激怒し,悲しんで言った。「あなたがたが,わたしの不在中に行ったことは災いである。あなたがたは主の審判を催促するのか。」かれは板碑を投げ,かれの兄の頭(の髪)を(掴?)んでぐっと引き寄せた。かれ(ハールーン)は言った。「わたしの母の子よ,本当に人びとはわたしを無力だとし,またわたしをほとんど殺さんばかりであった。だからわたし(の手落ち)に対し,敵を喜ばせないでくれ。またわたしを不義の人々と一緒に見なさないでくれ。」
151. かれ(ムーサー)は(祈って)言った。「主よ,わたしとわたしの兄を赦し,あなたの慈悲に浴させて下さい。本当にあなたは,慈悲深い者の中でも最も慈悲深い方です。」
152. 本当にこれら,仔牛を(崇拝の対象と)した者たちは主の激怒に触れて,この世の生活でも屈辱を受けるであろう。このようにわれは嘘いつわりを作り出す者に報いる。
153. しかし悪い行いをした者でも,その後に悔悟して信仰する者にたいしては,本当にあなたの主は寛容にして慈悲深くあられる。
154. ムーサーは怒りが静まると,板碑を取り上げた。その上には,主を畏れる者への導きと慈悲が記されていた。
155. それからムーサーは,われ(との会見)の時のために自分の民を70人選んだ。その時大地震がかれらを襲ったので,かれは言った。「主よ,あなたがもし御好みになったならば,(このことの)前に,かれらとわたしを滅ぼされたでしょう。あなたはわたしたちの中の無知な者の行いのために,わたしたちを滅ぼされるのですか,これは,只あなたの試みに過ぎません。あなたは御望みの者を迷わせ,また御望みの者を導かれます。あなたはわたしたちの愛護者であります。それで,わたしたちを赦して,慈悲を施して下さい。あなたは,最も寛容な御方でいらっしゃいます。
156. またわたしたちのために,現世も来世でも,幸福を授けて下さい。本当にわたしたちは,改峻してあなたの許に戻って来ました。」かれは仰せられた。「われは,自分が欲する者に懲罰を加える。またわれの慈悲は,凡てのものにあまねくおよぶ。それ故われは,主を畏れ,喜捨をなし,またわが印を信じる者にそれを授けるであろう。
157. かれらは文字を知らない預言者,使徒に追従する者たちである。かれはかれらのもっている(啓典)律法と福音の中に,記され見い出される者である。かれは正義をかれらに命じ,邪悪をかれらに禁じる。また一切の善い(清い)ものを合法〔ハラール〕となし,悪い(汚れた)ものを禁忌〔ハラーム〕とする。またかれらの重荷を除き,かれらの上の束縛を解く。それでかれ(使徒)を信じる者は,かれを尊敬し,かれを助けて,かれと共に下された御光に従う。これらの人びとこそは成功する者たちである。」
158. 言ってやるがいい。「人びとよ,わたしはアッラーの使徒として,あなたがた凡てに遺わされた者である。天と地の大権は,かれのものである。かれの外に神はなく,かれは生を授け死を与える御方である。だからアッラーと御言葉を信幸する,文字を知らない使徒を信頼しかれに従え。そうすればきっとあなたがたは導かれるであろう。」
159. ムーサーの民の中で,真理によって(人びとを)導き,またそれによって裁いた一団がある。
160. われはかれらを12の支部族に分けた。ムーサーの民がかれに水を求めた時,われは,「あなたの杖で岩を打て。」と啓示した。するとそこから12の泉が湧き出で,各支部族は自分の水飲み場を知った。われはまた(厚い)雲でかれらの上に影(の傘)を与え,マンナとウズラを下して,「われがあなたがたに授ける善いものを食べなさい。」(と告げた)。(だがかれらは背いた。)かれらはわれを害したのではない。只自分(の魂)を害しただけである。
161. かれらに向ってこう仰せられた時を思え。「あなたがたはこの町に住み,勝手に自分の好むものを食べなさい。だが,『御許し下さい』と言い,頭を低くして門を入れ。われはあなたがたの罪過を赦す。善いことをする者には,(報奨を)加えるであろう。」
162. しかしかれらの中で不義を行う者は,かれらに説明されたものを外の語に言い替え,不義を繰り返したので,われは天から懲罰を下した。
163. 海岸の町(の人びと)に就いて,かれらに問え。かれらが安息日(の禁)を破った時のことを,魚群はかれらの安息日に水面に現われやって来ていた。だがかれらが安息日の禁を守らなかった時は,それらはやって来なくなったではないか。このようにわれはかれらを試みた。かれらが主の掟に背いていたためである。
164. かれらの中の一団がこう言った時(を思え)。「何故あなたがたは,アッラーが絶滅され,また激しい懲罰をしようとされる民に訓戒するのか。」かれら(布教者)は言った。「あなたがたの主に,罪の御許しを願うためである。そうすればかれらは主を畏れるであろう。」
165. それでかれらが与えられている訓戒を無視した時,われは,悪を避けた者を救い,不義を行う者には恥ずべき懲罰を加えた。(それは)かれらが主の掟に背いていたためである。
166. それでかれらが倣慢に禁じられていることを犯した時,われはかれらに言った。「あなたがたは猿になれ。軽蔑され,嫌われてしまえ。」
167. あなたがたの主が,審判の日までかれら(ユダヤの民)に対し,厳しい懲罰を負わせる者を,遣わされ,宣告された時を思え。本当に主は懲罰に迅速で,またかれは本当に寛容にして慈悲深くあられる。
168. われはかれらを,地上で多数の集団に分散した。そのある者は正しい人物であるが,ある者はそうではない。われは緊栄と逆境でかれらを試みた。恐らくかれらは,(われに)戻ってくるであろう。
169. それから(不良の)子孫が,かれらの後を継いで啓典を継承したが,かれらは現世の虚しい物を受けとって、「(どんなことでも)必ずわたしたちを御赦しになろう」と言っていた。そしてもし同じような賜り物がかれらに来れば,(また)それを受け入れる。アッラーに関し真理の外,語ってはならないことは,(あなたがたの)啓典での約束ではなかったのか。しかもかれらは,その中にあることを学んでいたではないか。主を畏れる者にとっては,来世の住まいこそ最も優れている。あなたがたは理解しないのか。
170. 啓典によって(自分の生活を)堅持し,礼拝の務めを守る者,本当にわれは,このような身を修める者への報奨を決して虚しくしない。
171. われがかれらの上で天蓋のように山を揺り動かし,かれらがそれが自分たちの上に落ちてくると考えた時を思え。(その時われは言った。)「われがあなたがたに授けたもの(啓典)を堅く守り,その中にあることを銘記せよ。そうすればあなたがたは,主を畏れるであろう。」
172. あなたがたの主が,アーダムの子孫の腰からかれらの子孫を取り出され,かれらを自らの証人となされた時を思え。(その時かれは仰せられた。)「われは,あなたがたの主ではないか。」かれらは申し上げた。「はい,わたしたちは証言いたします。」これは復活の日にあなたがたに,「わたしたちは,このことを本当に注意しませんでした。」と言わせないためである。
173. 「また,先に神々を崇拝したのはわたしたちの祖先で,わたしたちはその後の子孫です。あなたは,虚偽に従う者が行ったことのためにわたしたちを滅ぼされますか。」と言わせないためである。
174. このようにわれは,印を詳しく述べる。恐らくかれらは,(われに)戻ってくるであろう。
175. (ムハンマドよ)われが下した印を授かりながら,それを脱ぎ捨て,それで悪魔が(愚?)いて,邪道に導く者の仲間となった者の話をかれらに告げなさい。
176. もしそれがわが意志であったならば,われはそれ(印)によってかれを引きたてたであろう。 だがかれは地上の事に執着して,自分の虚しい私欲に従った。それでかれを譬えてみれば犬のようなもので,もしあなたがそれを叱り付けても,舌を垂れている。また放って置いても,舌を垂れている。これはわが印を信しない者の比(輪?)である。だからこの(昔の人びとの)物語を告げなさい。恐らくかれらは反省するであろう。
177. 悪いのは(この)例のように,わが印を偽りであるとし,自らの魂を損っている者たちである。
178. アッラーが導かれる者は,正しい道の上にあり,迷わせられる者は,等しく失敗者である。
179. われは地獄のために,ジンと人間の多くを創った。かれらは心を持つがそれで悟らず,目はあるがそれで見ず,また耳はあるがそれで聞かない。かれらは家畜のようである。いやそれよりも迷っている。かれらは(警告を)軽視する者である。
180. 最も美しい凡ての御名はアッラーに属する。それでこれら(の御名)で,かれを呼びなさい。かれの御名を冒(漬?)するものは放っておきなさい。かれらはその行ったことにより報いられるであろう。
181. またわれが創った者の中には,真理によって(人を)導き,またそれに基づき公正に行う一団がある。
182. わが印を拒否する者は,かれらの気付かないうちに,少しずつ(破滅に)落し入れられるであろう。
183. かれらには猶子が与えられる。だがわが計画は,強(く免れられな)いのである。
184. かれらは反省しないのか。かれらの仲間は気が狂ったのではない。かれは明らかに,一人の警告者に外ならない。
185. かれらは天と地の大権に就いて観察し,またアッラーが創られた凡ての事物に就いて考察しないのか。またかれらに定められた時が,近くに迫っていると考えないのか。かれらはこの後に,どんな教説を信じようとするのか。
186. アッラーが迷わせられた者に導きはない。かれは,かれらの倣慢さ故に,当てもなく迷うに任せられる。
187. かれらは(最後の審判の)時に就いて,何時それがやって来るのかとあなたに問うであろう。言ってやるがいい。「それを知る方は,只わたしの主だけである。その時(最後の審判)を知らせて下さるのはかれの外にはない。それ(時)は,天でも地でも重い(重大事となる)。全く突然あなたがたにやって来る。」かれらはあなたが,それに就いて熟知しているかのように尋ねるであろう。言ってやるがいい。「それを知る方は,唯アッラーだけである。」だが人びとの多くは分からない。
188. 言ってやろがいい。「わたしはアッラーが御好みにならない限り,自分自身のための利害すら自由に出来ない。わたしがもし幽玄界を知っているならば,わたしは善いことを増し,また災厄に会わなかったであろう。わたしは只の一人の警告者で,信仰する者への吉報を知らせる一人の伝達者に過ぎない。
189. かれこそは,一個の魂(アーダム)からあなたがたを創り,互いに慰安を得るため,その妻を創られた御方であられる。かれがかの女と交わると,かの女は体内に軽い荷を負ったがそれでもかの女は(安易に)往来していた。そのうち重さが加わるようになると,かれらは両人の主,アッラーに祈って(言う)。「もしあなたが良い子をわたしたちに御授けになれば,わたしたちはきっと感謝を捧げます。」
190. だがかれが両人に良い(子)を御授けになれば,かれらに授けられたことに対して,かれに同位の者を立てる。だがアッラーは,かれらが立てたものの上に高くおられる。
191. かれらは何も創れない。またかれら自身が造ったものを,崇拝するのか。
192. それらはかれらを助けられず,自分自身(さえ)も助けられない。
193. 仮令あなたがたが導きのため,それらに呼びかけても,あなたに従わないであろう。あなたかたがそれらに呼びかけてもまた黙っていても,あなたがたにとっては同じことである。
194. 本当にアッラーを差し置いて,あなたがたが祈るものは,あなたがたと同じようにかれのしもベである。もしあなたがたが真実なら,それらを呼んであなたがたの祈りに答えさせなさい。」
195. それらは歩く足があるのか。持つ手があるのか。また見る目があるのか。聞く耳があるのか。言ってやるがいい。「あなたがたは(かれに配する)神々を呼ベ。直ぐわたしに向かって策謀してみよ。(隠?)(踏?)することはない。
196. 本当にアッラーはわたしの愛護者であり,啓典を啓示された方である。かれは正義の徒を愛護なされる。
197. だがあなたがたがかれを差し置いて祈るものは,あなたがたを助けることも,自分自身(さえ)も助けることは出来ない。」
198. もしあなたがかれら(クライシュ族)を正道に招いても,かれらは聞かない。あなたはかれらが,あなたを見守っているのを見よう。だがかれらは見てはいないのである。
199. (ムハンマドよ)覚容を守り,道理にかなったことを勧め,無知の者から遠ざかれ。
200. また悪魔からの中傷があなたを悩ました時は,アッラーの加護を求めなさい。本当にかれは全聴にして全知であられる。
201. 本当に主を畏れる者は,悪魔がかれらを悩ますとき,(アッラーを)念ずればたちどころに(真理に)眼が開くだろう。
202. だがかれら(悪魔)の兄弟たちは,もっと深くかれらを誤りに引き込もうとして,決して手を緩めない。
203. あなたが一つの印をもかれらに(湾?)さなかった時,かれらは言う。「あなたは何故それを(自分で)選ばないのか。」言ってやるがいい。「わたしは,只主からわたしに啓示されることに従うだけです。」それは,あなたがたへの主からの啓蒙であり,また信仰する者への導きであり,慈悲である。」
204. それでクルアーンが読誦される時は,それを謹しんで聴き,また静粛にしなさい。恐らくあなたがたは慈悲を受けるであろう。
205. またあなたがは朝夕,魂を込めて謙虚に,恐れ謹んで,言葉は大声でなく,あなたの主を唱念しなさい。おろそかな者の仲間となってはならない。
206. 本当にあなたの主の側近にいる者は,かれを崇めるのに慢心することなく,かれの栄光を讃えて唱念し,かれにサジダする。〔サジダ〕